その転機に前触れはなく01






 ぶわっしゃあああんっ!




 派手な水音。
 え、なに。何事っ?!

 ワンテンポ遅れて思いっきし勢いよくお尻と腰に衝撃が。


「〜〜〜〜っ!」


 声にもならない。
 い、痛い……! 激しく痛い。

 ここまで威勢よく尻もちついたのって、これまでの人生で初めてだ。
 尻もち自体、高校の体育の走り幅跳びで着地に失敗し尻に続いて後頭部からダイブ……砂を被った時以来。砂場だったから痛くなかったけど! クラスメイトの涙混じりの爆笑は、そりゃあもう痛かったのなんの。「授業はいいからとりあえずシャワーを浴びてきなさい」って言ってくれた先生の肩が小刻みに震えてたなんてのも、最高に思い出したくない黒歴史! そんな配慮より笑ってくれた方がマシだったよ先生……て、思い出しちゃってるし……。

 冷たい、寒い。
 なんか全身びしょ濡れだし。上から水が降ってくるから余計濡れるし。

 雨かと思ったけど違った。太陽さんは遥か頭上の彼方、雲がちょっとしかない晴天で晴れがましく輝いていらっしゃる。
 なんのことはない、私が噴水らしい場所に嵌ってるってだけのことだった。いやいや、だけって。流すなよ自分!

 水かぶっても変わらず思考はおかしいな!
 さすがの水さんも、夜勤の果てに変な方向に捻じ曲がって上がったテンションには勝てないのか。新発見をしてしまった。




 それでですね。

 なぜに私は尻もちなんぞをついているのかなー、とか。
 んでもってなぜに噴水に嵌ってるのかなーとか。

 いろいろつっこみたいんだけど、それ以上につっこみたいことに気づいた。気づいちゃったよ。

 いや、でも多分気づいてたなコレ。自分の目に映った風景を全力で否定してたんだよ、多分。いや絶対。

 自慢じゃないが視力は両目とも0.02以下。コンタクト絶賛装着中、お世話になり始めて早ウン十年……は経ってない。コンタクトレンズの歴史の始まりはきっとそれほど昔じゃないだろうし。
 そろそろ買い換えなきゃなと思うくらいにはまた視力が落ちてきてるけど、さすがに幻覚見えるくらいにはなっちゃいない。……いやいや違うし。幻覚見えてきちゃうのはもっとこう、精神科にお世話になるような方々とか、あまりの空腹で低血糖で意識がもうろうとした時とかで……って、あぁー! やっぱ思考おかしい!




 つまりね。

 私はつっこみたいんだ!
 今の。この、状況に!







「……どこだっての。ここ」







 コンビニのトイレから出てきたら。

 くらしっくで、かんとりーで、ゆにばーさるな感じの広場って。

 それってどんなドッキリだ。
 頭の中だっていうのに、ついひらがな発音になっちゃったじゃないか。別に英語に弱いからとかそんな理由じゃ決して……ないとは言えない自分が……悲しいです。

 日本語よ、国際語になってしまえ! あ、でも和製英語は許す。




 で。
 つっこんだところで状況が変わるかっていうつっこみに応じる余裕はないから割愛っ!




   2009.12.6