【地名】

イヴァン神聖国
 大陸全土に影響力を及ぼす魔術大国。広大な国土のほとんどを寒冷地が占めるも、比較的温暖な地域が多い。鉱山資源が豊富な反面、寒冷気候のために食料供給を頼りがち。貿易の盛んな資源国家でありながら、人材・技術を提供する先進国家。

エルシダ
 イヴァン東部の貿易中継大都市。貧富の差が激しく、貧民街では多くの孤児が独自のグループを築いて身を寄せあっている。

ラムロット
 エルシダから南下した位置にある、イヴァン南東部の農村。牧歌的雰囲気のいわゆる辺境だが、名医が住んでいることで周辺村落の間では有名。

クレメール
 イヴァン北西部に位置する山間部の多い新領地。かつては隣国ウルスペディアのものだったが、イヴァンとの間に続いた四十年戦争の最終戦地となったことで、五年前終戦と同時に奪取された。現在領主不在で、代行領主の統治下にある。

ウルスペディア
 イヴァン神聖国の北西に隣する王制国家。国土のほとんどが厳しい寒冷地帯で資源にも乏しく、それゆえか大国に喧嘩を売った命知らずな国として周辺諸国の笑い種にされている。が、同時に内密に戦争物資の支援を受けてもいた。

四十年戦争
 イヴァン・ウルスペディア間に勃発し、五年前に終戦した戦争。中期はほぼ冷戦で長い膠着状態が続いていた。ウルスペディアの間者が当時のイヴァン王太子と王女を暗殺したのが開戦の引き金になったとされているが、真偽は定かではない。


【組織・制度】

王立学院
 未来の国を背負う人材育成を行うイヴァン神聖国の国営学術機関。魔術部、武術部、政務部がある。身分の尊卑に関わらず広く開かれた学校だが格差意識の存在は否めず、貴族の子弟が多く在籍する魔術部と、平民出身の多い武術部の間には交流がほぼない。

特待生制度
 王立学院で採用されている、優秀だが入学・在学資金の用意できない貧困層への救済制度。規定以上の学力・成果を求められ、卒業後にもある程度制約がかかる代わりに、学費の免除、完全無料寮での居住などの恩恵を受けられる。枠は毎年五枠用意されるも、開校以来埋まった試しはない。

士官学校
 貴族の子弟にしか在籍の許されない士官候補生養成所。兵力増強を目的とする王立学院武術部と異なり、指揮官の養成が主である。

魔術師協会
 魔術関連の事業、案件を総括する巨大組織。通称・協会。イヴァン神聖国建国とほぼ同時期に発足、当時よりかの国に本部を置いている。

教会
 失われた神々を信仰する一大宗教組織。魔術技術の躍進によって全盛期より力を弱めたが、今も大陸全土で一般的に信仰されている。


【その他】

魔術師
 魔術師協会に所属する構成員であることを示す名誉称号。

魔術士
 魔術を使う人、の意。協会に所属していない術者を示すこともある。一般人は「士」と「師」の違いがわからず混同される。

治癒魔術
 対象者の自己治癒力を活性化させることで病気や怪我を治療する。対象者には相応の負担がかかり、過剰活性させれば命を奪いかねない事態に陥る。消費魔力、人体組織の理解、対象者の生命力管理などの複合知識と判断能力を要するため、魔術の中でも一線を画す高難度の専門分野。

古神再臨説
 教会の説く再重要教義。「世界を離れた古き神々はいつか必ず我々の前に還ってきます。だからそれまで我々は、神に託されたこの大地を、空を、秩序を守って生きましょう」という教え。

覇緑(はろく)の賢者
 三百年前に実在していたという伝説の薬師。

魔族
 一つ隣の世界に存在するという、人間の畏怖の対象。子ども向けの絵本にもよく悪者として登場する。

転化
 人やその他生物が魔族に転じる稀少現象。条件は不明。その逆は確認されていない。

理(ことわり)
 世界の普遍的事象を示す概念。かつて世界が生み出されたときに神によって作られた無数の決まり事で、神が去った後は定められた仕組みによって独自の意志のもと働きを続けている、と教会の教典に記されている。