肉体の枷から切り離された私の魂は、記録となって永遠を紡ぐ。
そう。この意思は、記録。
俗な言葉を使うのならば妄執とでも称する思いに形作られた記録でしかない。
魂に残された「記憶」では、断じてない。
なぜなら、私がそのありようを改変した。
それ以降 魂が、前世の記憶の残り滓を抱くことなどなくなったのだ。
何故、かと?
それを訊くか。この私に。
必要がないからだ。
魂に澱のごとくこびりつく前世の記憶の残滓など、枷になりこそすれ、現世にすこしの救いも得も与えぬからだ。
しかし今、私の意思を抱くこの記録は、自らが定めた理に反した結果である。否、完全に反しているとも言えぬだろう。私の立つ場所に前世も現世もないのだから。
望みはひとつ。
ただひとつ。
私の世界を壊したあの男。
その原因を作ってくれたあの女。
あれらに再びまみえること。
私の創った至高の世界。
砕いてくれた報いを与えること。
その後で、私は再び私の世界を創りあげよう。
今度こそ綻びのない、あの二人のような不確定要素の存在を許さない、私の望んだ愛すべき世界創造の時は――遠くないに違いない。
時間軸:本編前
全ての元凶